バンクシー作品『少女と爆弾/Girl With a Bomb』は、1998年に地元ブリストルの壁に登場してから、さまざまな場所で描かれた作品です。
Bomb LoveまたはBomb Huggerと呼ばれる作品の意味は、爆弾を抱きしめる少女です。直訳すると「爆弾愛」となるBomb Loveは、少女の無邪気さと戦争の悲惨さの対比、子どものおもちゃのように消費されている戦争を風刺したグラフィティ作品です。
バンクシーは『Bomb Love/爆弾を抱きしめる少女』で、どんなメッセージを伝えたかったのでしょうか。
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少女と爆弾の意味とは?
『少女と爆弾』と知られる『Bomb Love/Bomb Hugger』は、まるでぬいぐるみを抱きしめるように爆弾を抱きしめる少女を描いています。
バンクシーの特徴的なステンシル作品は、微笑む少女の無邪気さと純粋さ、爆弾が生み出す暴力と破壊を対比させています。
戦争で人を殺す武器がテディベアのように描かれていることから、戦争を行う国の幼稚さを表現すると同時に、戦争と愛という二項対立をも表現しています。
また、少女が手にしているこの爆弾が今にも爆発するかもしれないという不安を引き起こします。
少女と爆弾のメッサージ・伝えたいこと
『Bomb Love/Bomb Hugger』は、まるでおもちゃのように数え切れないほどの爆弾や武器が毎日製造され、世界の平和を維持するために武器が必要であるという口実の下、保管または販売する政府の戦争ビジネスへの熱中と、社会の戦争に対する無関心を浮き彫りにしています。
おもちゃで遊ぶのと同じように、何の結果も伴わない無害なゲームとして提示される戦争の矮小化も強調しています。また、『少女と爆弾』は愛の力が、戦争や暴力に打ち勝つことができるという明確なメッセージでもあります。
バンクシーは、「愛は戦争を超越する」ということを伝えようとしています。この少女は、愛情を込めて抱きしめることで爆弾を解除できるかもしれません。
少女と爆弾の場所
ポニーテールの少女が、軍用機用の爆弾を抱きしめているステンシル作品には特別な経歴があります。
バンクシーはこのモチーフが気に入り、何年もかけて壁やキャンバス、カードボードなどさまざま媒体にステンシル形式で異なるフォーマットの『爆弾愛』作品を頻繁に描いています。
1998年、ブリストル
1998年、バンクシーは最初のステンシル作品『爆弾を抱えた少女』を、ブリストルで制作しました。
無邪気さと純粋さ、そして戦争の恐ろしさのコントラストが特徴の作品です。
2002年、ロサンゼルス
『爆弾愛』は、2002年にロサンゼルスで開催されたバンクシーの最初の展覧会である「Existencilism」で展示されました。
バンクシーは、この象徴的なステンシルに基づいていくつかのオリジナルを実現しました。
2003年、ロンドン東部
2003年、ロンドン東部の壁に描かれたもの。
人類がつくる世界で、なぜ争いが絶えないのだろうか。そんな疑問に答えが出ることはないだろう。
2003年、ダンボールのプラカード版
2003年には、ロンドンやブリストルでのイラク戦争の反対運動に参加した際に『爆弾を抱えた少女』は応用されました。
2003年当時のバンクシーは、ローカルで人気のグラフィティアーティストに過ぎなかったが、イラク戦争の反戦運動にコミットしたことをきっかけに世界中の政治問題に大きく関わっていくようになります。 |
『爆弾を抱えた少女』は、段ボールに描かれたデモ用プラカード版もあり、反戦デモの参加者に配られました。
少女と爆弾のコンテキスト
少女は巨大な爆弾を、まるでテディベアを抱きしめるかのように抱えています。
その愛情あふれる腕に包まれれば、どれほど強力な爆弾さえも無力化できるかもしれない。
つまり、戦争には力などなく、ポジティブで正しい行動だけが勝利をもたらすことができるというメッセージがあるのです。
『爆弾を抱えた少女』は、戦争の本質も考えさせられます。
人々が政府の巧みな言葉に踊らされ、自由と民主主義の名の下に引き起こされる戦争の根本的な原因は常に同じです。
世界をよりよい場所にしたがる人間ほど、危険なものはない
権力を握るための飽くなき欲望なのです。
『爆弾を抱えた少女』は、おもちゃのように爆弾や戦争を作り出す政府の強迫観念を無垢な少女の姿に置き換えています。
戦争を引き起こす政府は、少女のような子どもっぽさがあるという意味も垣間見えます。
バンクシーは民主主義や平和を推進するための道筋として、画面に戦争を映し出し人々に無意識に強迫観念を押し付けようとするマスメディアや政治家たちに疑問を呈している。
また、バンクシーは愛の力がまだ有利であり、最終的に愛は憎悪に打ち勝つだろうということもこの絵で示唆しています。
少女と爆弾のエディション
少女と爆弾の作品概要まとめ
バンクシー作品『Bomb Love(少女と爆弾)』とは、まるでぬいぐるみを抱きしめているかのように微笑む少女が描かれた絵画です。別名『Bomb Hugger(ボム・ハガー)』。
本作品の背景は人物を強調するために傾向のピンク色が利用されている。これはバンクシーの友人のアーティストであるStikがよく利用する描画方法である。
『少女と爆弾』は、微笑む少女の無邪気さ・純粋さと、爆弾が生み出す暴力・破壊の対比を特徴としています。また、世界の平和を維持するために武器が必要であるという口実の元、おもちゃのように数百万個もの爆弾を製造し、遊びの代わりに戦争が売られている現代社会への批判を意味しています。
西側の民主主義社会で匿名で立ち上がり、平和、正義、自由といった誰も信じていないものを求めるのは、かなりの勇気がいる。
今にも爆発しそうな爆弾を抱きしめる少女は、「愛の力」は戦争や暴力に打ち勝つことができるという明確なメッセージでもあります。愛情を込めて抱きしめるこの少女は、爆弾を解除できるかもしれません。
絵画 | 説明・解説 |
タイトル | Bomb Love(Bomb Hugger) |
作品名 | 少女と爆弾(ボム・ハガー) |
年代 | 2003年 |
場所 | ブライトン |
意味 | 戦争の商品化への批判 |
特徴 | 反戦争・平和主義・愛と平和 |
メッセージ性 | 世界の平和を維持するために必要なのは、武器ではなく「愛」 |
日本で見れるバンクシー「Bomb Love Over Radar」
「Bomb Love Over Radar」は、「Bomb Love」に赤いレーダーマークが加わった、バンクシー自身によってスプレーでキャンバスに描かれた世界に一点のみの希少性の高い作品です。バンクシーからコレクターに直接プレゼントされ、ずっと秘蔵となっていた作品で、今回が世界初公開・初展示となります。
バンクシーの名言
バンクシーは、謎のグラフィティアーティストで正体は誰も知りません。ただ、バンクシーの作品は世界中で知られています。
「私たちが人生で行うことは、永遠に響き渡る」と作品で描いているように、世界中でグラフィティを描き続けるバンクシーの名言を英語&日本語の意味も合わせてお楽しみください。
西側の民主主義に匿名で立ち上がって、平和と正義と自由のような他の誰も信じていないことを求めるには、多くの勇気が必要です。
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