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バンクシー作品解説

【ネタバレ注意】『杏が見た!“バンクシー”の世界と英国グラフィティ・アートの旅』BSフジ11月4日20:00~21:55

女優の杏が、正体不明で匿名性を保つストリートアーティストの秘密に迫る番組『杏が見た!“バンクシー”の世界と英国グラフィティ・アートの旅』がBSフジで11月4日20:00~21:55に放送される。

世界各地に残すバンクシー作品は、無断で描かれることからアートではなく、落書きとも言われることもある。

破壊行為とも言える作品に、なぜ人々は魅力を感じるのか。

こんにちは。バンクシー非公式マガジンBANDAL編集部です。

バンクシー非公式マガジンBANDALでは、バンクシーがなぜ注目されるのか。どうやって有名になったのかなど。バンクシー作品の意味を解説したり、その魅力、メッセージ性の解釈、現存する場所などを発信しています。

本記事では予習も兼ねて、杏さんがバンクシーの秘密に迫った作品の意味について解説しています。

ぜひ最後までご覧ください。

番組のネタバレになるような内容もあるかもしれませんので、放送を楽しみにしている方はここで閲覧をおやめください。

イギリス出身のバンクシー

イギリス出身のバンクシー

杏さんが訪れたのは、バンクシーの故郷であり、ストリートアートが盛んな国、イギリス。

バンクシーの出身地であるブリストルや、活動拠点があるロンドンなどに現存するバンクシーのオリジナル作品を探していく。

実は、バンクシーは、ブリストル出身の男性という情報だけを明かしている。

バンクシーは1人ではないという情報もあるが、1人のバンクシーと名乗る人物は存在しており、チームで活動をしている。

イギリスに現存するバンクシー作品

イギリスには、複数のバンクシー作品が残っている。

今回は、番組で取り上げられるバンクシー3作品の解説をしていく。

  • The Painter(ザ・ペインター)
  • Basquiat Murals(バスキアとの非公式コラボ)
  • Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)

The Painter(ザ・ペインター)

杏が見た!“バンクシー”の世界と英国グラフィティ・アートの旅

The Painter(ザ・ペインター)として知られる作品は、蝶ネクタイをした画家がイーゼルと筆を手に、赤い文字で「BANKSY」とタギングしている様子を描いている。

タギングとは、街の公共物や外壁にスプレーペンキを用いて、名前や所属集団のマークを描き、その場にいた存在を示すグラフィティの一種です。

この作品は、2007年にロンドン西部のノッティング・ヒルにあるレストランの外壁に描かれました。

The Painter(ザ・ペインター)のモチーフ

背広を着た画家は、スペイン絵画の黄金時代であった17世紀を代表する巨匠、ディエゴ・ベラスケスです。

宮廷画家としても有名で、エドゥアール・マネが「画家の中の画家」と呼んだ画家でもあります。『ラス・メニーナス(女官たち)』という油彩画は、ピカソがテーマとして取り上げるほどの有名な作品です。

24歳という若さで宮廷画家となったベラスケスは、時の国王フェリペ4世の肖像画を描くことを許された唯一の画家です。

The Painter(ザ・ペインター)の意味・メッセージ

バンクシーもフェリペ4世のように、自分を描くことをベラスケスだけに許したというメッセージを込めたのか。

それとも、宮廷画家は、油彩画だけでなくグラフィティも描くのだという皮肉を込めたのか。

はたまた、映画『ノッティングヒルの恋人』のように、身分の違う宮廷画家とグラフィティアーティストの奇跡を描いたのか。

皆さんは、どう思いますか?

The Painter(ザ・ペインター)の裏話

バンクシーの壁画の中でも無傷のまま残っている古い作品の 1 つ「The Painter(ザ・ペインター)」。

作品が描かれた3階建ての建物は、2014年に買収され、2018年9月から改修工事が行われました。

その間、作品は足場で覆われ、作品の存続が心配されていました。

改修工事から14ヶ月後、ケンジントン&チェルシー市の副市長であるワラ・イドリス氏も除幕式に出席し、保護ガラスで覆われたままのバンクシー作品に、住民や訪問者は驚嘆しました。

これは大したことだ。バンクシーはバンクシーだ。この作品は、私たちのコミュニティの文化、多様性、そして包括性について多くを語っている

これにより、ハイストリートは人々が訪れる目的地となり、訪問者を惹きつけ、ここでさまざまなことが起こっていることを示します。単なるお店ではありません。

ワラ・イドリス副市長は、作品の保存が地域社会にとって何を意味するかについてこのように語りました。

The Painter(ザ・ペインター)の場所

The Painter(ザ・ペインター)が描かれた場所は、2 Acklam Rd, London W10 5QZ イギリス

「The Grand on Portobello」というレストランがある建物の外壁にあります。

Basquiat Murals(バスキアとの非公式コラボ)

杏が見た!“バンクシー”の世界と英国グラフィティ・アートの旅

Basquiat Murals(バスキアとの非公式コラボ)として知られる作品は、2017年9月18日、ヨーロッパ最大級の文化複合施設バービカン・センターの壁に2つ描かれました。

1つは、バスキアの代表作『ジョニー・ポンプの少年と犬』をモチーフに、警察の取り調べを受けるバスキアを描いています。向かい側にあるもう1つの作品は、バスキアの象徴的な作品「王冠」をモチーフに、観覧車と順番待ちをする人の列を描いています。

バンクシー作品『警察官に歓迎されたバスキア』と『観覧車』の作品解説はこちらをご覧ください。

バスキアは、1980年代にニューヨークで活躍した黒人アーティストです。

27歳で死去したバスキアを生前は認めなかったバービカン・センターが、9月21日からジャン=ミシェル・バスキア回顧展を開催したことへバンクシーらしい皮肉を込めた作品と言われています。

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)

杏が見た!“バンクシー”の世界と英国グラフィティ・アートの旅

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)と知られる作品は、ブリストルのブリッジファーム小学校に描かれた作品です。

2016年6月のある早朝、ブリッジファーム小学校に忍び込み、校舎の壁に高さ4mの特別な贈り物を描きました。

現場には、バンクシー直筆の手紙が添えてあり、子どもたちへの感謝の言葉が書かれていました。

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)の裏話

イザムバード・キングダム・ブルネル(Brunel)黒ひげ(Blackbeard)ジョン・カボット(Cabot)バンクシー(Banksy)

ブルネル(Brunel)・黒ひげ(Blackbeard)・カボット(Cabot)・バンクシー(Banksy)

Kid Rolling A Burning Tireが描かれる数週間前、学校は寄宿舎の名前をつけるコンペを実施しました。

最終的に、ブリストルの伝説にちなんだ名前を付けることになり、4つの候補に絞られました。

イザムバード・キングダム・ブルネル(Brunel)ロンドンとブリストルを繋ぐグレート・ウェスタン鉄道の建設を手掛けた偉大な英国人
黒ひげ(Blackbeard)アン女王の復讐号でアメリカ東海岸とカリブ海で暴れ回ったブリストル生まれ18世紀の海賊
ジョン・カボット(Cabot)ブリストル港の商人の資金によってコロンブスに次いで大西洋を横断した大航海時代の航海者
バンクシー(Banksy)ブリストル出身で正体不明のストリートアーティスト、政治活動家、映画監督、大学名誉教授

子どもたちは、ブルネル、黒ひげ、カボット、バンクシーの中から、命名しました。

学校関係者は、バンクシーに子どもたちが名付けたことを知らせるために手紙を書きました。

そして、学生と教員がハーフタームと呼ばれる1週間の中間休暇から戻った際、バンクシーからの贈り物を発見しました。

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)の意味

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子ども)は、抗議活動をする子どもを意味します。

https://edition.cnn.com/2012/06/29/world/meast/lebanon-tires-ynca/index.html

燃えるタイヤの意味

タイヤは性質上、簡単に着火することはありませんが、一度燃焼すると消化することが大変困難になります。

燃えるタイヤは、高温とともに、大量のすすや濃い黒煙が発生します。濃い黒煙は、他のデモ参加者への合図として使用でき、政府が簡単に妨害できない通信手段となります。

通貨の暴落が続き、医療費が値上がりすることで生活状態が悪化したレバノンでは、抗議者たちがタイヤを燃やして道路を封鎖する抗議活動を行いました。また、シリアでのレバノンのシーア派巡礼者の誘拐に抗議する若者がタイヤに火を付ける抗議活動を行いました。

このように、燃えるタイヤは、紛争のイメージが持たれるようになりました。ただ、レバノンは、燃えるタイヤを紛争の象徴から平和の象徴になることを望んでいます。

これ以上燃える必要はない。必要なのは美しいもの、幸せをもたらすもの。

2006年のイスラエルとの紛争後に生活に苦しむ若者たちを支援するために設立された団体「市民活動青年ネットワーク(YNCA)」の会長セルハン氏は、上記のように語りました。

フープ転がしの意味

バンクシーもこのメッセージに共感して、フープ転がしという伝統的な子供の遊びをモチーフに作品を制作しました。

18世紀、ロンドンでは路上でフープ転がし(フープローリング)をすることは、迷惑行為になったという。ロンドン警察は、ストリートや公園でフープ転がしをする少年少女からフープを押収した。

しかし、一部では、古代ギリシャから行われてきた健全で無害な遊びを子どもから奪うクレーマーだとロンドン警察を嘲笑する者もいました。19世紀初頭までには、フープ転がしは女子の標準的な体育の一部となっていました。

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)のメッセージ

バンクシーは、迷惑行為とされるストリートアートと子どもの遊びの歴史も踏まえ、現代の子供たちが育っている環境についてメッセージを込めたと解釈されます。

自分の人生は、自分がどう思って生きるかで切り開いていける。

道はいつも開かれています。と。

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)の手紙に込めたメッセージ

学校の管理人は発見当初、この作品を破壊行為だと思い「一掃」したいと考えていました。

しかし、壁画の近くに、子供たちへの手紙を見つけて、それがバンクシーからのプレゼントであることに気づいたといいます。

手紙には、次のように書かれていました。

親愛なるブリッジ・ファーム・スクールの皆さんへ
手紙と建物に私の名前を付けてくれてありがとう。写真を撮ってください。気に入らない場合は、遠慮なく上書きしてください。きっと先生たちは気にしないでしょう。

許可を得るよりも許しを得る方が常に簡単であることを忘れないでください。
たくさんの愛を、バンクシー。

バンクシーの代理人兼認証機関ペスト・コントロールは、作品が実際にバンクシーによって描かれた本物であることを認めました。

また、「バンクシーの作品の多くは高度な酩酊状態で制作されているため、認証プロセスは長く困難になる可能性がある」とも付け加えました。

ブリストルに愛されるバンクシー

ジェフ・メイソン校長は、このように述べました。

アートをどう解釈するかは人それぞれだと思う。学校は壁画を保存するつもり。売却する計画はない。

ブリッジ・ファーム小学校に通う生徒の保護者であるレベッカ・レッドフォードさんは、ツイッターにこのような投稿をしました。

昨夜、息子の学校に侵入者がいたと聞きましたが、それが誰であるかを知ったときは、それほど怒りませんでした

ブリストル市民からの反応は、好意的です。

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)の場所

Kid Rolling A Burning Tire(燃えているタイヤを転がす子供)が描かれた場所は、E Dundry Rd, Whitchurch, Bristol BS14 0LL イギリスです。

「Bridge Farm Primary School」という小学校の校舎にあります。

バンクシーが故郷の地元団体に作品を贈ったのはこれが初めてではない。

2014年4月、バンクシーは差し押さえの脅迫を受けたブロード・プレイン・ボーイズ・クラブ近くの出入り口に壁画を描いた。

クラブはすぐにそれを地元のコレクターに67万ドルで売却し、クラブを継続するのに十分な資金を集めた。

杏が見た!“バンクシー”の世界と英国グラフィティ・アートの旅

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バンクシー作品には、反消費主義や反権力、反戦を訴えるメッセージが込められている。

バンクシーのようなアーティストが誕生した背景、政治や社会に対する強烈なメッセージはどこから生まれたのか、人々を魅了するグラフィティの秘密にも迫った番組は、BSフジで11月4日20:00~21:55に放送される。

現地のアーティストたちとの出会いを通じて、グラフィティの魅力や歴史についても探っている放送が楽しみである。

バンクシー非公式マガジンBANDALのTwitter

バンクシー非公式マガジンBANDALでは、Twitterにて作品解説をしている。

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