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バンクシー作品解説

バンクシー『パルプフィクション(Pulp Fiction)』意味は反銃・反暴力・反戦争

バンクシーの『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』は、クエンティン・タランティーノ監督の同名映画の主人公、サミュエル・L・ジャクソンとジョン・トラボルタが演じた2人が銃を構えている様子を描いています。しかし、ユーモラスかつ皮肉なバンクシーは、彼らのピストルを明るい黄色のバナナに置き換えています。

クエンティン・タランティーノ監督1994年の映画『Pulp Fiction』の名場面を大胆なモノクロで描き、アンディウォーホルが1967年に描いた米ロックバンド「ベルベット・アンダーグラウンド」のアルバムジャケットの黄色いバナナをアクセントにしている作品は、映画とアートのカルト的な性質を遊び心たっぷりに再解釈した作品です。

バンクシーの『パルプ・フィクション』の意味

バンクシー『パルプフィクション(Pulp Fiction)』意味は反銃・反暴力・反戦争

『パルプ・フィクション』の意味は、カルト映画の暴力的なシーンを無害で笑えるものに変えた皮肉です。

バンクシーは、銃反対・暴力反対・戦争反対という強力なメッセージを表現しました。また、『パルプ・フィクション』は、『Have A Nice Day『Applause』『Bomb Hugger』『Flags』などの作品のように、アメリカの外交政策を明確に批判するメッセージだと解釈されています。

一見すると『パルプ・フィクション』は、タランティーノ映画やウォーホルのポップカルチャーに敬意を表した作品のように見えます。しかし、バンクシーはアメリカ大衆文化を引用し、戦争と暴力のシンボルを無害なものに弱体化させています。

この版画を『パルプ・フィクション』と呼ぶことが実際に合法なのかどうかは分かりませんが、すぐに分かると思います。

We are not sure if it’s actually legal to call this print “Pulp Fiction”, but I guess we’ll find out soon enough.

実際に、アメリカの大衆文化であるハリウッド映画の中でも、タランティーノ監督の映画は過度の暴力性で知られています。

タランティーノ監督映画の過度な暴力性への批判

タランティーノ監督映画の過度な暴力性への批判

『Pulp Fiction』(パルプ・フィクション)とは、アメリカのクエンティン・タランティーノが監督を務めた1994年のクライムドラマ映画である。

同年のアカデミー賞では脚本賞、カンヌ国際映画祭ではパルム・ドール賞を受賞。3つのエピソードを元に、バラバラの時系列でストーリーが絡み合う巧みな構成が見応えのある作品で、公開から25年以上経った今でも古臭さがなく、スタイリッシュで根強いファンが多い名作です。

俳優のジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンが演じるヴィンセントとジュールが侵略者を撃墜する象徴的なシーンを再解釈したこの作品は、黒の背景に配置された白いステンシルペイントの部分で構成されています。

ウォーホルのアメリカポップカルチャーへの批判

ウォーホルのアメリカポップカルチャーへの批判

銃として使用されたバナナは、アンディ・ウォーホルの象徴的な1967年のアメリカのバンドのアルバム・ジャケットを思い出させます。

モノクロの背景にバナナを描いたベルベット・アンダーグラウンドや、1969年のモンティ・パイソンのフライング・サーカスのエピソード「フクロウのストレッチング・タイム」に登場したモンティ・パイソンのスケッチ「フレッシュ・フルーツに対する自己防衛」も想起させます。

バンクシーは、ウォーホルの『マリリン・モンロー』や『キャンベル・スープ缶』をオマージュした作品で、アメリカの大衆文化を嘲笑してきた。

『パルプ・フィクション』も、果物で武装した襲撃者を描きアメリカの大衆文化を皮肉っている。

バンクシー『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』の場所

『パルプ・フィクション』は、2002年にロンドンの地下鉄「オールドストリート駅」近くに、大きなステンシル壁画作品として初めて描かれました。

オリジナルの壁画は、2007年にロンドン交通局が塗りつぶすまで、多くのファンや観光客を魅了していました。

2007年ロンドン交通局は、バンクシーの壁画『パルプ・フィクション』が首都の社会的衰退とグラフィティを容認する雰囲気を助長する可能性があるという理由で壁画を塗りつぶしました。

壁画が破壊されると、地元アーティストがバンクシーに宛てた「Come Back」という言葉をスプレーで描きました。

バンクシーの壁画『パルプ・フィクション』

ファンの期待を裏切ることができなかったバンクシーは、まったく同じ場所に別バージョンの作品を描き直しました。パルプ・フィクションの2人が本物のピストルを持ちバナナの衣装を着ているという遊び心で、オリジナル作品を逆転させたのでした。

グラフィティアーティストのオゾン

グラフィティアーティストのオゾン

2007年1月12日、グラフィティアーティストのオゾンは、新しいバンクシー作品の上にこのような言葉を描き加えました。

If it’s better next time I’ll leave it. (もし次回が良かったら残しておきます)

しかし、19歳のアーティストは数日後、ロンドン東部バーキングでアーティスト仲間のウォンツとともに地下鉄にはねられ、悲劇的に亡くなってしまいます。

バンクシーは、オリジナルの『パルプ・フィクション』の壁画を塗り替えて別の作品を作成しました。

バンクシー作品「オゾンの天使」

防弾チョッキを着て右手にドクロを持つ天使を描いた新作は、2人の若きグラフィティアーティストに敬意を表して描かれました。この作品に合わせて、バンクシーは公式ウェブサイトに次のようなメモを投稿しました。

Ozone – rest in peace. (オゾン – 安らかに眠ってください。)

この追悼壁画は「オゾンの天使」と呼ばれるようになりました。

バンクシー『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』の販売

バンクシー『パルプ・フィクション(Pulp Fiction)』の販売

2004年、『パルプ・フィクション』のシルクスクリーンのサイン有り版150部とサイン無し版600部が、出版社ピクチャーズ・オン・ウォールズ(POW)から1,000ポンドで販売されました。

2007年1月のオゾン追悼壁画から、バンクシーの『パルプ・フィクション』はさらに人気を博し、大量に複製されるようになりました。

パルプ・フィクションのステンシルの版画は、2012年に10,600ポンドで販売されました。

20201124日、テート・ワード・オークションで、サイン入り版画が125,000ポンドで落札されました。

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ブリストル出身のストリートアーティスト

ブリストル出身、イギリスを拠点とする匿名のストリートアーティストであり、政治活動家、映画監督、大学名誉教授としても知られる公共物破壊者

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