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MUCA展@東京の作品解説&口コミ バンクシーからカウズ展はいつまで?アリエル日本巡回から読み方まで

テレビ朝日開局65周年記念『MUCA展(読み方:ムカ) ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~』が大分、京都を巡回し、2024315日(金)~62日(日)まで東京・森アーツセンターギャラリーにて開催されている。

MUCA展のグッズ販売では、図録も販売されており、公式アンバサダーには、俳優の水上恒司さんが就任された「MUCA展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~」。


バンクシー作品をオールカラーで網羅した待望の日本語版、公式作品集「Wall and Piece」はこちら

BANDAL編集部では、世界でもここでしか見られない作品群を間近で見ようと、東京・六本木へ向かった。

展覧会名

テレビ朝日開局65周年記念 『MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~』

会期2024年3月15日(金)〜6月2日(日)
開館時間日~木:10:00~19:00(最終入館18:30)
金・土・祝日・祝前日・GW(4/27〜5/6):10:00~20:00(最終入館19:30)
会場森アーツセンターギャラリー
住所〒106-6152
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
休館日※会期中無休
観覧料:平日
  • 一般:2,200円
  • 高校生・大学生 :1,500円
  • 小学生・中学生:800円
観覧料:土・日・祝※5/6含む
  • 一般:2,400円
  • 高校生・大学生 :1,700円
  • 小学生・中学生:1,000円
チケット取り扱い
  • イープラスチケット
  • 森アーツセンターギャラリーオンラインチケット
お問い合わせ050-5541-8600(9時~20時 年中無休)
主催ICONS of Urban Art制作委員会
後援ドイツ連邦共和国大使館
企画制作MUCA(Museum of Urban and Contemporary Art)

MUCA展とは日本を巡回したアーバン・アート展

MUCA展@森美術館に行ってみた!【バンクシー作品解説】全国巡回からグッズ販売・図録から読み方までクチコミ

MUCA展は、東京六本木にある森アーツセンターギャラリーで開催されている。

MUCA展とは、20〜21世紀に盛り上がりを魅せる都市芸術「アーバン・アート」の先駆者たち「バンクシー・インベーダー・カウズ」など総勢10名のアーティストの作品が、約37点展示されるボリューム満点の展示内容で、アーバン・アートが網羅された巡回展だ。

MUCAの読み方は「ムカ」ドイツの美術館の略称

MUCAとはドイツの美術館「Museum of Urban and Contemporary Art」の略称

MUCA(読み方:ムカ)とは、「Museum of Urban and Contemporary Art」の略称で、ドイツ・ミュンヘンの中心部、マリエン広場からすぐの変電所跡地に設立された美術館である。

アーバンアートと現代美術に特化しており、今日まで25年以上にわたって収集活動を続けてきたコレクターのクリスチャン・ウッツとステファニー・ウッツ夫妻によって2016年に開設された。

設立以来、ヨーロッパを中心に高い人気を誇るアーバンアートの美術館として知られており、ポップ・アートからニューリアリズムまで、都市環境の中の芸術、抽象絵画など20〜21世紀アーティストの作品1,200点以上のコレクションを誇っている。

MUCA展のチケットはいくら?前売り券は3月14日まで

MUCA展のチケットは、前売り券と当日券とで、販売期間・観覧料が異なる。

また、MUCA展のチケットは、1時間毎の「日時指定制」を採用されている。

  • 「前売券」の販売期間:2024年1月27日(土)10:00~3月14日(木)23:59
  • 「当日券」の販売期間:2024年3月15日(金)  0:00~6月2日(日)18:30
平日土・日・祝
前売券当日券前売券当日券
一般2,200円2,400円2,400円2,600円
学生(高校・大学生)1,500円1,700円1,700円1,900円
子供(小学・中学生)800円1,000円1,000円1,200円

※表示料金は消費税込
※MUCA展は、事前予約制(日時指定券)を導入している。

MUCA展で販売されているグッズ

MUCA展で販売されているグッズ

MUCA展では、特設のグッズショップで3つのグッズ販売が行われている。

  • 公式図録:2,500円
  • トートバッグ:2,750円
  • Tシャツ:3,850円

MUCA展の会場に入場する際、作品保護のため、カバンや荷物はロッカーに預け、会場には携帯品しか持ち込めないようになっている。

グッズショップは、会場からそのまま続いており、財布もロッカーに預けてしまうと、グッズ購入するのに一度退出して再入場して、また会場を通り抜ける必要があるので財布は携帯しておくことをおすすめする。

MUCA展で展示されているアーバンアーティスト作品

MUCA展で展示されているアーバンアーティスト作品

「MUCA展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~」では、MUCAが所蔵する代表的な作品群、アーバン・アートの「アイコン」たちの作品が約37点が展覧されている。

大胆不敵で独創的な作品(まさに「アイコン」)は、世界屈指の先駆者たち10名によって創造された。

  • BANKSY/バンクシー
  • KAWS/カウズ
  • BARRY MCGEE/バリー・マッギー
  • OS GÊMEOS/オス・ジェメオス
  • INVADER/インベーダー
  • SHEPARD FAIREY/シェパード・フェアリー
  • RICHARD HAMBLETON/リチャード・ハンブルトン
  • JR/ジェイアール
  • SWOON/スウーン
  • VHILS/ヴィルズ

ちなみに、バンクシーとオス・ジェメオス/OS GÊMEOSは、2013年ニューヨークでコラボ作品を制作している。

MUCA展で展示されているバンクシー作品解説

MUCA展では、バンクシー作品が18点展示されていた。

バンクシーは、作品を見る人それぞれに自由に解釈する権利を与え、自分で決めるように促している。

ここからは、バンクシー作品を1つずつ解説していく。バンクシー作品の自分なりの解釈にも、予習復習にもご覧いただけると嬉しい。

アリエル/ARIEL@MUCA展 東京2024

アリエル/ARIEL【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

ディズマランドの象徴的なモニュメント『アリエル』の彫刻。

2015年イギリスで開催された、バンクシー監修の”悪”夢の国『ディズマランド』の腐敗したシンデレラ城の前に、象徴的に置かれた『アリエル』の彫刻は、不自然に歪んでいる。

バンクシーは『アリエル』の彫刻にどのような意味を込めたのか?

BANDAL編集部では、ルッキズム(外見至上主義)への批判を意味しているのではないかという解釈をした。

ウェルカム・マット/Welcome Mat@MUCA展 東京2024

ウェルカム・マット/Welcome Mat【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

『Welcome Mat』は、地中海に捨てられた救命胴衣(ライフジャケット)の生地を使用して手縫いで作られている。

捨てられた救命胴衣。実は密航業者が難民に販売した安価な偽物であり、実際には浮力がまったくなかったのだ。玄関先で迎える「ようこそ」という明るく陽気なメッセージの裏には、痛ましい意味が縫い合わされていたのだ。

Love Welcomes(https://www.lovewelcomes.org/pages/about-us)

人道支援プロジェクトを手掛けるバンクシーは、難民女性の支援団体「Love Welcomes」と協力して、ウェルカムマットを製作した。

私たちの難民女性チームは、材料をアップサイクルして美しい手作りの家庭用品を作り、世界中で販売しています。

ギリシャ難民危機をきっかけに2017年に設立された「Love Welcomes」は現在、複数の場所で活動し、キャンプにいる難民や再定住した人々を支援している。

バンクシーが自身の商品を販売したポップアップストア「Gross Domestic Product(GDP)」で販売された『Welcome Mat』の収益は、すべて難民が主要なサービスにアクセスできるようにするために寄付された。

このような人道的支援活動と世界のアートシーンに与えた影響が評価され、2022年6月28日、UCA芸術大学(クリエイティブアーツ大学)は、バンクシーを名誉教授に任命することを発表した。

海辺のバッカス/Bacchus at the Seaside@MUCA展 東京2024

海辺のバッカス/Bacchus at the Seaside【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

『海辺のバッカス』は、グイド・レーニの1621 年の傑作『バッカスとアリアドネ』(ロサンゼルス郡美術館蔵)を悪びれることなく流用し、オウィディウスの神話に対する皮肉を込め、美術史と直接対話している。

バンクシーは2人の顔を切り取り、バッカスの性器を覆う蛍光色のトラフィックコーンを導入した。

バンクシー作品には、トラフィックコーンが頻繁に登場する。これは、スコットランド・グラスゴー「GoMA」の正面にある「ウェリントン公爵の騎馬像」の上に常に置かれているトラフィックコーンに影響を受けていることは間違いない。

通称「Conehead(世間知らずの愚か者)」と呼ばれる帽子は、市議会と警察の最善の努力にもかかわらず、コーンが撤去されるたびに別のコーンを設置してきたグラスゴー市民による芸術作品である

バンクシーがイギリスで一番好きな芸術作品という「市民による作品」は、どこにでもあるトラフィックコーンを使用して、文化的洗練のシンボルを中傷している。

バンクシーは、高尚な芸術を低俗な要素で、盗用、汚損、破壊行為することで「美術史とユーモア」を並置させる芸術的表現を行っている。

鉤縄/Grappling Hook@MUCA展 東京2024

鉤縄/Grappling Hook【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

『グラップリング・フック(鉤縄)』は、敵の船を捕まえるための海賊行為に用いられる道具にイエス・キリストを張り付け、宗教を武器に世界侵略していった様を表現している。

ウォールド・オフ・ホテルにて4万ポンドで販売された『グラップリング・フック(鉤縄)』にはこのようなメッセージが付属されていた。

戦術支援階級用、高張力鋼製の全地形登山装置を、お買い上げありがとうございます。

壊れやすいため、展示目的のみに使用してください。

2017年、バンクシーはベツレヘムに『ザ・ウォールド・オフ・ホテル』をオープンした

その目の前にあるヨルダン川西岸の分離壁は、2つの地域と政府を分断するだけでなく、キリスト教の聖地であるベツレヘムのキリスト降誕教会イスラエルのエルサレム旧市街の聖墳墓教会も分断している。

『グラップリング・フック(鉤縄)』は、この闘争を力強く表現しており、ベツレヘムでのウォールド・オフ・ホテルの介入から生まれた象徴的な作品である。

分離壁には、バンクシー自身が2006年最初の作品を制作し、その後、MUCA展に展示されている「JR/ジェイアール」などの世界的アーティストたちも作品を残している。

その椅子使ってますか?/Are You Using That Chair?@MUCA展 東京2024

その椅子使ってますか?/Are You Using That Chair?【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

エドワード・ホッパーの有名な絵画「ナイトホークス」をオマージュしたバンクシーの油絵作品。

バンクシーの『その椅子使ってますか?/Are You Using That Chair?』では、ひび割れた窓に指をさし怒っている、威圧的な太った男性が描かれている。

ユニオンジャックの下着だけを着ている男性の足元には、プラスチック製の椅子が2脚散乱しており、窓を割ろうと投げつけたとみられる。2脚という数字は潜在的に、上級階級の椅子を求めて怒っている英国の労働者階級を表している。

エドワード・ホッパー (1882-1967) は、アメリカの写実主義画家であり、20世紀のトップ画家の1人でもある。

ホッパーは油絵で広く知られており、ありふれた主題に詩的な意味を重ね合わせることで、落ち着いたドラマを生み出し、時には意図せぬ物語の解釈を誘ってきた。

『ナイトホークス』には、深夜にダウンタウンのダイナーにいる人々が、大きなガラス窓から眺めている様子が描かれている。ダイナーから差し込む光が、暗く寂れた都会の街並みを照らしており、近代都市の疎外的な存在によって生み出される孤独感を表現している。

この作品はホッパーの最も有名な作品とみなされており、アメリカ美術の中で最も有名な絵画の1つであり、美術史上最も複製された絵画の1つでもあるのだ。

レーダーラット/Rader Rat@MUCA展 東京2024

レーダーラット/Rader Rat【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

Radar Ratは、バンクシー作品の代表的なモチーフの1つ「ネズミ」が描かれた作品。

英語の「Rat」は、ドブネズミを指すのだが、バンクシーはストリートアーティストである自分自身を「ドブネズミ」に投影している。ドブネズミは、病原菌を撒き散らしたり、家財や電線を食いちぎる害獣として忌み嫌われている。

人目を盗んで夜な夜な活動する「街の害獣」を、見つからないように公共の場に作品を描く「社会の嫌われ者」と重ねているのだ。

ヘッドフォンを装着しテープレコーダーと受信機を握りしめ、後ろ足で立っているネズミは、ロンドンなどの主要都市で監視装置が増え続けていることについてのメッセージとして解釈することができる。

バーコード・シャーク/Barcode Shark@MUCA展 東京2024

バーコード・シャーク/Barcode Shark【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

『Barcode Shark』は、バンクシーの特徴的なステンシルで描かれた、サメの形をしたバーコード作品である。

バーコードは、消費文化のシンボルであり、現代社会における大量生産・大量消費に関連付けされる。バーコードという仕組みが私たちの暮らしに登場したのは、1970年代。以来その役割をしっかり果たしており、消費者が素早く買い物の支払いを済ませる事に役立っている。

資本主義が崩壊しない限り世界を変える為にできる事なんて、何もない。

それまでは気休めに買い物でもしてりゃいいのさ。

バンクシー

『Barcode Shark』のサメは、人間に脅威を与える機会を「バーコード=資本主義」という水面下から狙っている。

同じバーコードをモチーフにしたバンクシー作品に『Barcode Leopard』という作品がある。

ステンシルで描かれたヒョウの背後には「バーコードの檻」が描かれており、動物保護から消費主義まで様々な解釈ができる作品になっている。消費の檻から逃げ出した肉食動物を恐れるべきなのか。この動物は消費崇拝に支配されることのない、稀有な人間を現しているのだろうか?

バーコードのモチーフは、動物や人間の命を含むあらゆるものに値札を付ける、過剰な消費主義と商業資本主義への批判を示唆しているだ。

パラノイド・ピクチャーズ/Paranoid Pictures@MUCA展 東京2024

パラノイド・ピクチャーズ/Paranoid Pictures【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

『Paranoid Pictures』は、バンクシー監督作品 映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(Exit Through The Gift Shop)』の架空の制作会社のロゴをキャンバスに描いたステンシル作品。

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』は、ミスター・ブレインウォッシュとしても知られるティエリー・ゲッタ主演のオスカー候補の伝記ドキュメンタリーであり、2010年のアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にもノミネートされた映画である。

『Paranoid Pictures』は、パラマウント・ピクチャーズ(Paramount Pictures)の有名なロゴをモチーフにしている。

パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーションは、アメリカの映画制作・配給会社である。世界で5番目に古い「ビッグ 5」の映画スタジオであり、アメリカでは、ユニバーサル・ピクチャーズに次ぐ2番目に古い1912年に設立された映画スタジオだ。

Paranoidには、「偏執症に苦しむ・誇大妄想的な・病的なほどこだわりが強い」という意味がある。

これは、あからさまにポップ アートの父「アンディ・ウォーホル」を示唆している。

アンディ・ウォーホルは、映画『パラノイア プラス 2(Paranoia Plus Two)』の監督をしており、「パラノイア」という言葉をよく口にしていたのだ。

現代アメリカ文化の人気の広告キャンペーンやロゴに対する強い偏執を作品にするウォーホルを皮肉るように、バンクシーは『Paranoid Pictures』を制作したのではないだろうか。

われもの注意/FRAGILE@MUCA展 東京2024

われもの注意/FRAGILE【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

『FRAGILE』は、ピョートル・チャイコフスキーが作曲した最も有名なバレエ音楽「白鳥の湖」をモチーフにした作品。

悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられ、永遠の愛を見つけることによって呪いを解くことができるオデット姫のステンシルは、ポワント(つま先立ちの状態)で踊る優美さと落ち着きを感じる。

ただ、邪悪な印象を残すのは、キャンバスに重ねられた不穏なテキスト「FRAGILE(われもの注意)」だ。

バンクシーは、「白鳥の湖」のオデットと王子が湖に身を投げて亡くなり、来世で結ばれる悲しい結末を用いて、オデット姫の優美なバレエと、死という避けられない結末の対比をキャンバスに表現している。

『FRAGILE』は、バンクシーが2013年ニューヨークで開催したアーティスト・レジデンシー「Better Out Than In」の13日目、セントラルパークにて60ドルで本物の作品を露店販売した『Art Sale』で販売されていた作品の1つである。

バンクシーは本物を60ドルで販売すると、どれだけ売れるのか社会的実験をしていた。

愛は空中に/Love Is In The Air@MUCA展 東京2024

愛は空中に/Love Is In The Air【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

『Love Is In The Air』は、2003年にパレスチナの壁に登場してから、いろんな場所で描かれた作品。

バンクシー公式作品集「Wall and Piece」の表紙やプリント作品、公式の商品など様々なところで採用されてきた。



パレスチナのインティファーダと呼ばれる民衆蜂起と、ピューリッツァー賞にもノミネートされたフラワー・パワー(武器ではなく花を)と呼ばれる写真をモチーフにしていると言われている。

ちなみに、MUCA展の解説であった「フラワー・スロウワー(花束を投げる男)」と呼ばれている作品は、バンクシー自身の商品を販売したポップアップストア「Gross Domestic Product(GDP)」で販売されたり、バンクシーがパレスチナにオープンした「THE WALLED OFF HOTEL」に展示されている三連祭壇画を指す。

弾痕の胸像(ブレット・ホール・バスト)/Bullet Hole Bust@MUCA展 東京2024

弾痕の胸像(ブレット・ホール・バスト)/Bullet Hole Bust【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

バンクシーの彫刻作品『弾痕の胸像(ブレット・ホール・バスト)』は、眉間に銃弾が撃ち込まれたヘルメス胸像である。

『弾痕の胸像(ブレット・ホール・バスト)』のモチーフは、1988年にダミアン・ハーストが主催し、ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA) を立ち上げた独創的な「フリーズ展」で展示されたイギリスのマット・コリショーという現代アーティストの『弾痕(Bullet Hole)』という作品だ。

Bullet Hole · Mat Collishaw(https://matcollishaw.com/works/bullet-hole/)

よく見ると、髪の毛の中心にあるのが、頭部の弾痕であることに気づく。

この作品は、事故、自殺、変死を問わず死体写真が収録された教科書『法医学病理学のカラーアトラス』からインスピレーションを得ている。「生と死」を扱った衝撃的なイメージの再利用は、抽象画よりはるかにインパクトが強く、YBA精神の代名詞となった作品だ。

バンクシーは、目の錯覚で無意識的に引き込み、潜在意識に影響を与えるコリショーの手法を取り入れ、彫刻胸像という古典的な芸術に風穴を開ける自らのスタンスを表現した。

ケイトモス(グレイ)/Kate Moss@MUCA展 東京2024

ケイトモス(グレイ)/Kate Moss【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

バンクシー作品『ケイトモス』は、アンディ・ウォーホルの『マリリン・モンロー』のオマージュ作品。

ポップアートの巨匠が描いた名作をモチーフにした『ケイトモス』の意味とは、世界的な大衆文化の顔は移り変わっていくというメッセージがある。

バンクシーは、アンディ・ウォーホルに敬意を表し、象徴的な「マリリンモンロー」のシルクスクリーン絵画を現代版にアップデートしている。モスは現代のモンローに相当する人物として描かれており、どちらもそれぞれの時代のセックスシンボルだ。

そして、バンクシーが21世紀のアンディ・ウォーホルであるということを示唆する作品となっている。

間違った戦争/WRONG WAR@MUCA展 東京2024

間違った戦争/WRONG WAR【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

2003年、イラク戦争に反対する抗議デモのために制作したプラカード作品『WRONG WAR』。

ロンドンで行われた抗議デモで使われたプラカードのほとんどは、路上に捨てられたり、警察に押収されたりして残らなかった。

バンクシーの作品の真贋認証機関ペストコントロールは、プラカード作品『WRONG WAR』を含むストリートアートに対して犯罪行為を認めることになるため、COA(真贋証明書)を発行していない。

少女と風船/Girl with Balloon@MUCA展 東京2024

少女と風船/Girl with Balloon【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

風船と少女(Girl with Balloon)の赤い風船は、「希望や平和」を意味していると解釈されることが多い。

2002年にロンドンのテムズ川沿いの階段の壁に描かれた「風船と少女」の近くに「There is always hope」と描かれたことが起源だ。

【2023年新作】バンクシー『風船と少年/Boy With Balloons』意味を作品解説!場所と伝えたいことも

ただ、この「There is always hope(いつでも希望はある)」はバンクシーが描いた文字ではなく、第三者が描いた文字である。

つまり、バンクシーの作品の意図とは関係のない言葉なのだ。では「風船と少女」には、どんなメッセージがあるのだろうか。

BANDAL編集部では、「愛」を意味しているのではないかという解釈をした。

その経緯は、こちらの記事で解説しているので、是非ご覧いただきたい。

風船のない少女/Girl without Balloon@MUCA展 東京2024

風船のない少女/Girl without Balloon【バンクシー作品解説&クチコミ】MUCA展@森美術館に行ってみた!

2018年10月5日にバンクシーの代表作「Girl with Balloon(風船と少女)」が、オークション中にシュレッダー付きの額縁によって裁断された介入芸術作品の1つ「愛はゴミ箱の中に(Love is in the Bin)」である。

下半分が裁断された「風船と少女」は、バンクシー公式の認証機関「Pest Control Office」によって、バンクシーの介入が認められ「愛はゴミ箱のなかに」に改題されました。

オークション中に新たに生まれ変わった作品は「シュレッダー事件」などとも呼ばれ、破壊ではなく創造された作品として、世界の注目を集めました。

バンクシーは「愛はゴミ箱の中に」で、どんなメッセージを伝えたかったのでしょうか。


この衝撃的な作品が日本で見れるとは。

バンクシー作品をオールカラーで網羅した待望の日本語版、公式作品集「Wall and Piece」はこちら

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