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バンクシー作品解説

『英国の偉大なスプレーケーション』バンクシー2021年新作9作品の意味を解説!

2021年8月14日、バンクシーは一連の新作品群『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』をインスタグラムで発表した。

英国の偉大なスプレーケーションの壁画は8月6日頃に相次いで出現し、地元英国メディアでは以前から、バンクシーの新作ではないかと臆測が広がっていると報じていました。

バンクシーは、ビーチ用ウインドブレーカー、はしご、スプレー缶が入ったクーラーボックスを備え、ボロボロのキャンピングカーに乗ってスプレーケーションへ向かった3分間の動画をインスタグラムで公開し、作品が本物であることを公表した。

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『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』の意味

『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』とは、塗料の「スプレー」と休暇の「バケーション」を組み合わせた造語「スプレーケーション」を意味しており、コロナ禍の夏休みはイギリス国内で過ごすようにというメッセージを込めている。

イギリス政府は、コロナ禍での夏休みを「ステイケーション」と呼び、海外旅行を制限し、近場のホテルで過ごす旅行スタイルを促していた。バンクシーは、パンデミックの影響を受けた人々のために破壊行為を行い、市民の娯楽と気晴らしの源としての役割をもたらせた。

動画のBGMは、オーストラリアの19歳シンガー「Tones and I(トーンズ・アンド・アイ)」のアコーディオン版『Dance Monkey(ダンス・モンキー)』が流れています。

『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』の9作品解説

『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』の作品群が描かれた場所は、イギリスのイースト・アングリア地方のサフォーク州とノーフォーク州にある海岸都市です。

ストリートを主戦場とするバンクシーは、都市社会に作品を残す最適な場所を選んでおり、環境をシームレスに組み込んで、市民に寄り添う体験を作り出しています。

ロックダウンの期間、誰もが非常に困難な時期を過ごしてきたことを考えると、環境を巧みに利用したメッセージは意味のあるものになっている。

『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』は、遊び心のある方法で、共感と連帯を促しています。

デッキチェアでカクテルを飲むネズミ

『デッキチェアでカクテルを飲むネズミ』は、ローストフトのノースビーチにあるリンクスヒルのふもとの防潮堤に現れました。

バンクシーの特徴的なネズミが、デッキチェアにもたれかかり、カクテルグラスを持っています。ただ、カクテルグラスには排水口から滴る廃水が注がれています。

残念なことに壁画は発見からわずか1週間余りで、白いペンキで塗りつぶされてしまいました。

イーストサフォーク議会は、このように述べた。

議会として、保護スクリーンで壁画を保存するための措置を講じましたが、残念なことに破壊行為の結果、一部の作品が損傷したままになっています。

議会は壁画を保護スクリーンで覆い、バンクシーによって修復されることを期待して、塗りつぶされたまま保護しています。

アーケード・グラバー

『アーケード・グラバー』は、ゴーレストンのノースビーチにあるベンチの頭上に現れました。

日本では「UFOキャッチャー」と呼ばれる「アーケードゲーム風のグラバー」は、ベンチに座っている人を掴もうとする高さに描かれています。

地元アーティストのエモさんは、バンクシーとのコラボレーションだと主張する「Banksy Collaboration Emo」というサインとともに、数日以内に6匹のテディベアを加えました。

市議会は、このように述べています。

破壊を防ぐために、安全と保護を選別しようとしたケースだった。

人々は、テディベアを抱えて壁画が描かれたベンチに座っていました。テディベアを消した後でも、そうしています。

市議会は、書き加えられた作品を削除し、バンクシー作品に保護スクリーンを追加しました。

チップを食べに飛ぶカモメ

『チップを食べに飛ぶカモメ』は、ローストフトのデンマーク通りとカトワイク通りの角にある家の外壁に現れました。

カモメの壁画は、建設用スキップに廃棄されている「チップ」の隣に描かれ、まるでカモメが建築現場で出た断熱材の破片で作られた「チップス」を食べようとしているようでした。

カモメは、ゴミを食べ物と間違えることで知られています。海岸でのポイ捨てによる無責任な汚染によって、野生動物が脅威に侵されていることを示唆しています。

一方で、カモメが「人間が食べ物を口にしている場所=餌の場所」と学習し、家庭ゴミや人間の食べ物に近付き、奪い、都市環境での繁殖を増加させている可能性があるというイギリスの研究を引用しているという解釈もあります。

『チップを食べに飛ぶカモメ』は、カモメの学習行為が、都市環境での生存力に強く繋がることと同時に、ゴミや食べ物を正しく廃棄することの重要性も示しています。

『チップを食べに飛ぶカモメ』は、Katwijk Way、ローストフト、サフォークに描かれました。

この作品は、『英国の偉大なスプレーケーション』の一連の壁画の中で、最も形を変化させました。

壁画は当初、保護スクリーンで覆われていました。2023年1月に、建設用スキップに廃棄されている「チップ」が削除されます。2023年2月には、アラン・グリーン町長が「壁画は撤去しない」と発表していたにも関わらず、足場とカバーが出現します。そして5月、壁画が描かれていた外壁のレンガが撤去されました。

壁画は、イギリスのどこかに保管されていると言われているが、販売されたのか、オークションに出品されたのかはわかっていません。

現在、外壁はレンガごと再建されています。

高級賃貸のみのヤドカリ

『高級賃貸のみのヤドカリ』は、3匹のヤドカリの群れに対して、貝殻を背負った1匹のヤドカリが「高級賃貸のみ」と書かれたプラカードを掲げている作品です。

この作品が描かれたクローマーは、カニ産業と住宅危機で有名な街です。

『高級賃貸のみのヤドカリ』は3匹のヤドカリが、カニの高級住宅街への立ち入りを拒否されていることを意味しています。一見するとコミカルですが、厳しい移民政策や住宅危機、ホームレスをに言及する深刻なメッセージが込められています。

英国の海岸都市では、所有者が使用していない時に「ホリデー・ハウス」として貸し出すセカンドハウスの購入が増加し、この価格上昇によって地元住民が住宅を購入できなくなってしまいました。

また、パンデミックの影響で、夏休みの海外渡航は諦めて近場へ旅行とする人が多く、イギリス国内のホテルや貸しコテージの値段は例年よりも高価になりました。

バンクシーは『高級賃貸のみのヤドカリ』で、宿泊施設への立ち入りを拒否された人を表現しました。

『高級賃貸のみのヤドカリ』は、クローマービーチの防波堤に現れました。

市議会は、地元企業が観光客数の増加から恩恵を受ける可能性があるとしてこのように述べました。

この作品での痛切なメッセージは、地元の住宅危機に関するものです。

住宅待機リストには2,500人が登録されているが、同時に約5,400戸の別荘がこの街にあります。

バンクシーが犯行を公表した時、市議会は作品を紫外線や北海の荒廃から保護するアクリル板で覆いました。

しかし、2022年6月に壁画は破壊されました。

私たちは皆、同じ船に乗っている/We’re all in the same boat

『私たちは皆同じ船に乗っている』は、沈みかけの傾いた船に乗っている3人少年たちを描いています。

船尾にいるセーラー帽の少年はバケツで船を救出し、真ん中にいる三角帽子の少年は船長をつかみ心配そうに後ろを見ています。船首にいるセーラー服を着た船長は「単眼鏡」で前方を見ており、急速に沈む船を気にしていないようです。

バンクシーは、レンガ調を服の模様に。排水で湿った地面を海に。腐敗した鉄板大波を船に見立てるなど環境を巧みに取り入れ、特徴的なステンシル技法と融合させた作品を残しました。

『私たちは皆同じ船に乗っている』は、サフォーク州オールトン・ブロードの「ニコラス・エヴェリット・パーク」にあるランドスプリング・ドレインにかかる橋の側面に現れました。

東サフォーク市議会は、腐敗した鉄板大波は排水溝を塞ぐ位置にあるため撤去したと公表し、このように述べた。

作品が公開されたとき、当然のことながら憶測が飛び交ったが、バンクシーが犯行を認めたとき、その期待感は喜びに変わった。その直後、国中から観光客がこの地域に殺到した。

これはメディアやアート界から多大な関心を集め、コミュニティに永続的な遺産を残しました。

市議会は、色あせを防ぐための紫外線に強いポリカーボネートで壁画を覆い作品を保存しました。

フレデリック・サベージ像

蒸気機関士で元キングス・リン市長の『フレデリック・サベージ像』に、バンクシーはピンクの舌とアイスクリームを追加しました。

1889年〜1890年にかけてキングス・リン市長を務めたフレデリック・サベージの銅像は、グアノック・プレイスとロンドン・ロード・ウェストの角に100 年以上建立しています。

膨張可能な泡が入ったアイスクリームのコーンが右手に置かれ、口からはピンク色の舌が垂れ下がった作品は、当初は無作為の破壊行為と思われていました。

キングス・リン・ウェスト・ノーフォーク評議会は、このように述べています。

まだコーンを保管しているが、舌に何が起こったのかは分かっていない。

そして、評議会の広報担当者は、バンクシーの代理人であるペスト・コントロール社が許可しない限り、コーンについて何もする予定はないと述べました。

砂の城と少女/Sandcastle Girl

『砂の城と少女/Sandcastle Girl』は、バールで砂の城を建てる子供を描いています。

ロックダウンの期間で、子どもたちの砂遊びはバケツやスコップではなく、バールに変化しました。

バンクシーが公開した動画では、舗道を実際に破壊して作品にしています。この破壊行為は、1968年のパリの学生蜂起のスローガン「sous les pavés, la plage!(舗道の下、ビーチ)」を意味するメッセージだと解釈できます。

また、子供がバールを使っているという事実は、立ち退きや不法占拠へのメッセージとも解釈することができます。

『砂の城と少女/Sandcastle Girl』は、ロンドン・ロード・ノースにある旧ローストフト電気店の側面に現れました。

東サフォーク市議会は当初、作品を保護するためのスクリーンで覆いましたが、その後建物所有者によって撤去され、1月に非公開の金額で秘密裏に売却されました。

後に2023年6月から10月までベリー・セント・エドマンズ、ニューマーケット、ヘイヴァヒルで開催されるモイーズ・ホール美術館の『Mutiny in Color』展の一部として展示されています。

ダンスホール・バス停

『ダンスホール・バス停』は、バス停の屋根をダンスホールにして、アコーディオン奏者に合わせて踊るカップルを描いています。

等身大の非常に精巧な人物を3人描いた作品は、パンデミックの影響で「ステイケーション」が前世代のノスタルジックな休暇になることを意味しています。

バンクシーの『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』では、音楽ホール、ゲームセンター、ホテルのエンターテインメントなどを引用した作品を発表しており、パンデミックの影響を多大に受けた施設へのメッセージと解釈することもできます。

『ダンスホール・バス停』は、グレート・ヤーマスのアドミラルティ・ロードにあるバス停の上に描かれました。

バンクシーが犯行を表明してから、バス停の周囲には柵が設置され、警備員の姿が見られました。

グレート・ヤーマス自治区評議会は、「すべての素晴らしい芸術作品に感謝し、街への贈り物を祝う活動を継続する」としてこう述べました。

等身大のスケールで全盛期のアーティストの作品を目の当たりにしています。

これほど巧みにステンシルを使えるストリートアーティストは、ほとんどいません。そして、誰もが目にするような場所に高速で作品を描くことができる人は他にいません。

『ダンスホール・バス停』は、パースペックスのカバーに覆われ今も残っています。

馬小屋/Go Big or Go Home

バンクシーのミニチュア模型作品『馬小屋』は8月6日、グレート・ヤーマスにある模型村、メリベール・モデル・ビレッジ/Merrivale Model Villageに設置されました。馬が顔を出す馬小屋には「BANKSY」と描かれており、その様子を見た少女はショックを受け、かごを落としただ立ち尽くしています。

さらに、馬小屋の側面の壁に立てかけられた車輪の上には、バンクシーの特徴的なネズミが「Go Big or Go Home」という赤色のグラフィティを描いています。

『馬小屋』Go Big or Go Homeの意味

『Go Big or Go Home』とは、直訳すると「派手にやるか、帰るか」です。

大胆に行く時などに、「中途半端にやってもしょうがない」ということを意味する決まり文句なのです。

この作品が設置された模型村は、周囲に監視カメラを設置しており、夜間には侵入者に警告することができます。バンクシーは、この犯行を、白昼堂々とやってのけました。

メリベール・モデル・ビレッジにあるバンクシー作品のミニチュア模型

バンクシーの一連の作品群『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』のミニチュア模型作品が点在しています。

『馬小屋』Go Big or Go Homeの場所

バンクシーのオブジェ作品『馬小屋』は、Marine Parade, Great Yarmouth NR30 3JG イギリスに位置するメリベール・モデル・ビレッジ/Merrivale Model Villageに設置されました。

バンクシー本人も削除した作品『モデルヨット・ポンド・ディンギー』

『モデルヨット・ポンド・ディンギー』は、一連の作品の中で最も小さく、最も物議を醸した作品です。

ゴムボートにしがみついている2人の子どもを描いた壁画は、『アーケード・グラバー』の反対側、ゴーレストンにあるヨット模型の池の壁に描かれていました。

しかし、この壁画はすぐに塗りつぶされます。

グレート・ヤーマス自治区議会は、2018年に3歳のエヴァ・メイ・リトルボーイがゴーレストンビーチで膨張式トランポリンが破裂し死亡したことを受けて、地元住民が敏感になっているために塗りつぶされたと述べました。

その後、市議会は作品があったコンクリート壁の部分を撤去しています。

最終的には、「街の別の場所で人々が無料で見られるように展示する」ために修復する予定とされていますが、この壁画はバンクシーのウェブサイトからも削除されました。

英国の偉大なスプレーケーションから帰ったバンクシー

『英国の偉大なスプレーケーション』バンクシー2021年新作9作品の意味を解説!

バンクシーは、アートを新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策に活用してきました。『Game Changer』は、2021年3月に1,680万ポンドで落札され、その収益はNHS大学サウサンプトン病院のへ寄付した。

『英国の偉大なスプレーケーション/A Great British Spraycation』は遊び心のある方法で、市民の娯楽と気晴らしの源として共感と連帯を促しました。さらに、パンデミックで最も大きな打撃を受けた人々に、経済的な救済を探求し続けています。

2015年にバンクシーが監修した『ディズマランド』は、かつてのリゾート地ウェストン・スーパー・メアに約2,000万ポンドの経済効果を与えたと言われています。

バンクシーの『スプレーケーション』は、ステイケーションを再計画するきっかけを与え、海岸都市への観光客を増やす可能性を高めました。

海岸都市のリゾート地が業績不振になる要因や、周辺環境にまつわるメッセージを作品を通して問題提起しました。

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アーティスト

バンクシーは日本が嫌いです。誰もが15分間で有名になれる時代に、誰も正体を知らないストリートアーティストの真実に迫るマガジン『BANDAL』公式アカウント。作品解説や現存する場所、偽物検証などの情報を発信中。

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