バンクシーが新作『風船と少年/Boy With Balloons』を公開しました。
2023年7月21日(金)、公式個展『CUT & RUN』を開催しているグラスゴーの現代美術館(GoMA)内に展示されていることを公式インスタグラムで発表しています。
こんにちは。バンクシー非公式マガジンBANDAL編集部です。
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この記事では、新作『風船と少年/Boy With Balloons』の意味や場所、伝えたいことまで詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
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バンクシー新作『風船と少年/Boy With Balloons』
バンクシーは2023年7月21日(金)、公式個展『CUT & RUN』を開催しているグラスゴーの現代美術館(GoMA)内に、新作『風船と少年/Boy With Balloons』を展示したことを公式インスタグラムで発表しました。
「Banksy Cut and Run」というインスタグラムアカウントでは、バンクシーの公式インスタグラムが公表する前から、新作『風船と少年/Boy With Balloons』の写真を2枚、このようなキャプションを付けて投稿していました。
Here come the surprises 🎈!! @banksy @glasgowgoma
「サプライズが来た」と訳せるこのキャプションは、投稿者が予期しなかった新作に会えたことを表現しています。
バンクシーはオールナイト開催に合わせて新作を発表
#バンクシー が公式展覧会を開催しているグラスゴーのGoMAに『Grim Reaper』が現れた。
ニューヨークでの「Better Out Than In」で登場した死神との遭遇を意味する作品には、ネルソンマンデラを支えた詩「インビクタス」などいろんなメッセージがある。
▼詳細はこちらhttps://t.co/TiGtY7fW42 https://t.co/AnJCodOk6L pic.twitter.com/M2lbnkWVDw
— BANDAL🎈バンクシー非公式マガジン (@bandal_jp) July 19, 2023
グラスゴーでのバンクシー公式個展『CUT & RUN』は、7月21日(金)と7月22日(土)にオールナイトイベントを開催することを発表しています。
すでに、チケットは完売していますが、当日券が準備される可能性があります。
来場者は、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」で使われたビージーズの楽曲「Stayin’ Alive」に合わせて、大鎌を振り回すバンパーカーに乗った死『グリムリーパー/Grim Reaper』に出迎えられます。
このイベントに合わせて新作『風船と少年/Boy With Balloons』が公開されました。
バンクシー新作『風船と少年/Boy With Balloons』の意味
バンクシーの新作は、代表作として知られる『風船と少女/Girl With Balloon』を思い出させるような作品になっています。
『風船と少年/Boy With Balloons』の意味は、希望が支えてくれるです。
作品の少年は、スロバキアへ単身避難した11歳のウクライナ少年「ハサン・アル・ハラフ」を表現しています。
2022年3月、ハサン君はロシア侵攻から逃れるため、ウクライナから1人でスロバキアにいる兄弟の元に向かいます。
1100kmもの距離を電車と徒歩を使い、リュックひとつでたどり着いたハサン君を、スロバキアの地元警察は、「英雄」と呼んだことで世界の注目を集めました。
ハサン君は、インタビューでこのように語りました。
希望が僕をここまで導いてくれた。
ハサン君の母親は夫を亡くしており、自力で動けない祖母を介護するため、ウクライナに残らざるを得ない状況でした。
原子力発電所に近い街ザポリージャをロシア軍が攻撃し始めたことで、やむを得ず1人でスロバキアの兄弟の元に避難させることになりました。
バンクシー代表作『風船と少女』の意味
バンクシーの代表作『風船と少女』は、髪とスカートが風に吹かれる少女と、飛んでいく赤いハート型の風船を描いています。
風船に手を伸ばす少女は、風船を取り戻そうとしているのか、それとも風船を手放したのか。
見方によっては、子どもの頃に持っていたはずの「夢・希望・愛など」は、風船のように簡単に飛んでいってしまうという解釈もできます。
バンクシーの代表作は元々、ウォータールー橋の壁に描かれました。作品の右側には、バンクシーが書いたものではないとされる「THERE IS ALWAYS HOPE(いつだって希望はある)」という文字が書かれていました。
『赤い風船』は反戦の象徴に
シリアの内戦勃発から3年を迎えた2014年3月、バンクシーは「Girl With Balloon」の少女を、シリアの少女に変えた作品を発表しました。
このシリア少女の作品は、SNSで「#withsyria」というハッシュタグと共に、シリア内戦の犠牲者への支援を求める反戦キャンペーンのために拡散されました。
この活動は、人権保護団体のアムネスティ・インターナショナルやオックスファム・インターナショナル、国境なき記者団などが中心になって始めたもので「WithSyria(シリアと共に)」という合い言葉のもと、平和を願うたくさんの人々が参加しました。
この呼びかけにより、『赤い風船』は反戦の象徴となったのです。
バンクシー新作『風船と少年』と『風船と少女』の違い
バンクシーは、作品に「少年」や「少女」を描くことが多くあります。
子どものモチーフは、誰もが経験する普遍的な体験を描いており、作品を見た人の共感を呼び起こす強い力を持っています。
『風船と少年』と『風船と少女』とでは、異なる点が3つあります。
- 風船の形が丸い
- 風船を持っている
- 風船の数が多い
1.風船の形が丸い
バンクシー代表作『風船と少女』では、ハートの形の風船が描かれています。
しかし、新作『風船と少年』では、丸い風船が描かれています。
2.風船を持っている
バンクシー代表作『風船と少女』で描かれている風船は、飛んでいくのを戻そうとしているのか。追いかけているのか宙を舞っています。
しかし、新作『風船と少年』で描かれている風船は、手にしっかり握られています。
希望を表す赤い風船は、少年を導いているのか。少年がしっかり支えていることを示唆しているのか。
3.風船の数が多い
バンクシー代表作『風船と少女』では、描かれている赤い風船は1つです。
しかし、新作『風船と少年』では、赤い風船が5つ描かれています。
この5つは、6人兄弟の末っ子ハサン君が、兄弟の希望を支えていることを示唆しているのか。
または、ロシア侵攻で破壊されたのであろう建物の中で、瓦礫に絡みついたさまざまな風船の紐は、戦争で死亡した500人を上回る子どもを追悼しているとも解釈できます。
作品の解釈は、それぞれの人に委ねられます。 |
イギリスで160年以上の歴史を持つUCA芸術大学の名誉教授に就任したバンクシーは、代表作に新たな解釈を加えパロディ化することで、より多くの人に問題提起を届けています。
バンクシー新作『風船と少年』が描かれた場所
バンクシーの新作『風船と少年/Boy With Balloons』は、グラスゴーの現代美術館(GoMA)で開催している公式個展『CUT & RUN』に展示されています。
111 Queen St, Royal Exchange Square, Glasgow G1 3AH イギリス |
今回は、シュレッダーをかけたくない作品になったのではないか。
続報を待つ。
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