バンクシーが戦火のウクライナに潜入して残した壁画『柔道大会/The Judo Competition』。
柔道着の子どもが、黒帯の男性を背負い投げする様子を描いています。この壁画が切手となり、ウクライナ郵便局で販売されました。
こんにちは。バンクシー非公式マガジンBANDAL編集部です。
バンクシー非公式マガジンBANDALでは、バンクシーがなぜ注目されるのか。どうやって有名になったのかなど。バンクシー作品の意味を解説したり、その魅力、メッセージ性の解釈、現存する場所などを発信しています。
令和4年3月31日、外務省は「ウクライナの首都等の呼称の変更」の中で、ウクライナの首都の呼称をロシア語に基づく「キエフ」からウクライナ語に基づく「キーウ」に変更し、ウクライナとの一層の連帯を示すことを発表しました。 |
本記事では、バンクシーがなぜ柔道をテーマにしたのか?ウクライナ郵便局は、なぜ切手にしたのか?
壁画『柔道大会/The Judo Competition』と、切手の意味について解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。
バンクシー作品『柔道大会』の意味
バンクシーがウクライナに潜入して描いた壁画『柔道大会/The Judo Competition』は、ウクライナの抵抗の象徴を意味します。
柔道着の子どもが背負い投げする黒帯の男性は、柔道愛好家で黒帯の有段者でもあるウラジーミル・プーチン大統領を風刺しています。
ロシアのウクライナ侵攻を痛烈に批判すると同時に、ウクライナへの連帯のメッセージだと解釈することができます。そして、柔道着の少年は大国ロシアを破る小国ウクライナを表現しており、ウクライナの抵抗の象徴を意味しています。
ウクライナ侵攻開始時にロシアによって、多くの建物が瓦礫と化したキーウ北西のボロジャンカ。
この作品は、『逆立ちする体操選手/The Gymnast』が描かれたボロジャンカから、車で5分ほどの場所に描かれました。
バンクシー切手をウクライナ郵便局が発行した意味
2022年2月24日、ロシア侵攻から1周年のタイミングで、ウクライナ郵便局はバンクシーの壁画を印刷した切手を発行しました。
切手の左下には、プーチン氏を罵倒する言葉を略した『FCK PTN!』が、キリル文字で付け加えられています。
首都キーウの中央郵便局には、バンクシー切手の購入を熱望する大勢の住民が列を作りました。
ウクライナ軍を支持しているから
バンクシー作品の初切手
歴史的な瞬間に切手が印刷されたから
私たちが注目を集め続けることは、世界がウクライナを理解するための非常に素晴らしい行動だ
バンクシーがウクライナ切手を公認
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バンクシーはこれまで、作品の商用利用について認めない旨を発信してきました。
ウクライナの切手についても沈黙を貫いていましたが、2月28日にインスタグラムで切手の画像を投稿したことで、公認する旨を示したと見られています。
バンクシーの切手は、ウクライナの人々への連帯の象徴です。また、今なお続く戦争の犠牲者を追悼するための「戦争記念碑」となりました。
ウクライナのバンクシー切手、購入方法
ウクライナの切手は、国の郵便サービスUkrposhtaの公式サイトから直接購入できます。
元々、バンクシー作品の切手は、6枚の1シートで180フリブニャ(約670円)で販売されていました。
ただ、バンクシーの切手は、現在入手できません。
柔道壁画をフィーチャーしたアイテムには、ポストカードや封筒などもUkrposhtaの公式サイトから販売されていました。
切手の販売収益は、ロシア軍によって被害を受けた学校などの人道的活動に寄付されるという。
ウクライナ郵便局が発行した切手
ウクライナの郵便局「ウクルポシュタ」は、2022年4月と10月にも切手を発行しました。
「ロシアの軍艦、消え失せろ!」
ウクライナの郵便局「ウクルポシュタ」は、2022年4月に「ロシアの軍艦、消え失せろ!」と書かれた切手を発行しました。
このフレーズは、ロシアの侵略が始まって以来、すべてのウクライナ人にとって象徴的なフレーズとなっています。
ウクルポシュタは 6 種類の切手を合計 250,000 枚リリースしました。
切手と連動して封筒、ポストカード、フォルダー、フレーム、パーカーも発売されました。
各売上の一部は戦争の影響を受けた教育機関に寄付されます。
クリミア橋攻撃
ウクライナの郵便局「ウクルポシュタ」は、 クリミアとロシアを結ぶ橋 で先週起きた爆発を記念して、内部ジョークやタイタニック映画への言及を盛り込んだ切手を発行した。
ウクライナの画家ユーリー・シャポヴァルによってデザインされた切手は、立ち上る煙の雲の後ろから覗く橋の特徴的な白い鋼鉄のアーチを示しています。700万個の限定生産となります。
バンクシーがウクライナを支援
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バンクシーは公式インスタグラムで、ウクライナ支援のため作品50点を販売すると発表しました。
I’ve made 50 of these screenprints with all proceeds going to our friends in Ukraine. visit banksy.legacyofwarfoundation.com
公開した動画の中で「ウクライナの人たちとの連帯」を示しているバンクシーは、1点5,000ポンド(約84万円)で作品を販売しました。
売上は、英国の国際慈善団体「Legacy of War(レガシーオブウォー)」を通じて、ウクライナで支援を行う団体の活動資金に充てると明らかにしました。
バンクシーのウクライナ作品『柔道大会』の現在
バンクシーのウクライナの壁画にはテーマの類似点があり、1つは瓦礫の上で逆立ちをする体操選手を描いたもの、もう1つは戦車のトラップをシーソーとして使う子供たちの姿などを描いたものである。
ウクライナ人は、ロシア軍が自国にもたらした被害への意識を高めるこれらの作品に感謝の意を表明している。
アートは反戦を表現する強力な手段
アートは、あらゆる場面で反戦争を表現するための強力な手段です。
ロシア・ウクライナ戦争も例外ではなく、現代アーティストたちは芸術作品を通じてロシアの侵略を批判し、ウクライナの人々と文化の復興を支持しています。
芸術作品の中には悲しみを表現しているものもあれば、悲劇から復活する希望と抵抗の火を表現しているものもあります。
バンクシーのウクライナ介入は「不屈のシンボル」として称賛され、多くの人に温かく歓迎されました。
戦時中のポスターと同じように、バンクシーの切手は国民の愛国心と回復力を支援しています。
自作についてほとんどコメントすることのないバンクシー。
バンクシーの作品は、芸術がウクライナを表現の場、連帯の場、そして不屈のシンボルとして機能させることを実証しました。
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ガザ地区のハマスがイスラエルに対して空と地上攻撃で宣戦布告したことを受け、イスラエルの首相は「我々は戦争状態にある」と宣言
バンクシーはイスラエルが「テロ攻撃から自国民を守る」という名目で建設を続ける分離壁や、イスラエル軍の攻撃で疲弊したガザ地区に反戦を訴える作品を残してきた https://t.co/1jtF867IPj pic.twitter.com/3nAlT0vs1V
— BANKSY🎈バンクシー非公式マガジン (@bandal_jp) October 7, 2023
バンクシー非公式マガジンBANDALでは、Twitterにて作品解説をしている。
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