バンクシーが、ニューヨークで開催した「Better Out Than In」の7日目。
2013年10月7日に公開したのが、傷だらけの赤いハートの風船「Love Hurts」です。
バンクシー公式個展「CUT&RUN」スコットランド・グラスゴーの現代美術館で開催
Love Hurtsの意味とは、傷だらけの愛
2013年10月7日(月)ブルックリンに登場した「Love Hurts」は、「傷だらけの愛」という意味です。
このスプレー・アートは、バンクシーの作風が良く表れた作品です。2002年にロンドンに描かれた「風船と少女」をモチーフにした赤い風船ですが、いたるところに絆創膏が貼られ傷ついていることがわかります。傷だらけの飛んでいく風船に手を伸ばす人は誰もいません。
赤いハートの風船で、愛を表現するバンクシー。
誰かに傷だらけの愛を救ってほしいとも解釈できる作品には、どのようなメッセージがあるのでしょうか。
Brooklynと共に音声ガイドを公開
ニューヨークでの「Better Out Than In」を開催中ウェブサイトでは毎日、作品の発表とともに、写真と街の名前、メッセージ、音声ガイドが掲載されました。
7日目は街の名前「Brooklyn」とともに、このような謎の音声ガイドが掲載されました。
Love Hurts is obviously an iconic representation of the battle to survive a broken heart. It’s an uplifting visual poem to that most fragile of human emotions that seem to move within us as if on a soft breeze.
ヘリウム風船。それは詩的な存在。軽やかで壊れやすく、そよ風に舞う様子が愛らしい。この作品は傷ついた心(失恋)を乗り越えるための、戦いのシンボルです。まるでそよ風に漂っているかのような、最も脆く繊細な人間の心が和む視覚的な詩です。
音声ガイドの続きには、カメオ出演したミッキー・マウスの声も聞こえてきます。
愛は、バンクシーが頻繁に使用してきたテーマです。
タイトルが示唆するようにこの作品は、喜びと快楽だけでなく、傷と苦悩から生まれる愛の力を連想させます。そして、人間の感情の脆弱性は、簡単に穴を開けてしぼませることができる風船に表されています。
また、風船には、自由になり制約を超えて上昇し、重力に逆らおうとする本来の欲求。つまり、自然な弾力性があります。
一見わかりやすい作品に見えますが、実は切ないメッセージが込められているのです。
タギングで塗りつぶされるバンクシー
作品を見に集まった人の中には、少女と一緒に写真を撮る人が大勢いました。
観客が参加することで完成する、バンクシーとニューヨーク双方向の作品。
有名な作品がモチーフになっていることもあり、多くの人がインスタ映えスポットとして写真を撮りにきていましたが、残念ながら他のストリート・アーティストOmar(オマール)によってタグ付けされました。
作品のそばに自分の名前や作品(タギング)を加えて、注目を浴びようとする人が出てきました。
ニューヨークで存在感を強めるバンクシーにいい感情を持たないグラフィティ・アーティストたちも多く、バンクシーはただの目立ちがり屋で、活動は邪道だと考えるライバルもいました。
グラフィティは悪い行為だと、世間では問題視されています。
しかし、バンクシー作品にタギングするライバルに対して、人々は反感を示すので、連中もバンクシーの活動の一部となりニューヨーク中が街頭演劇(パフォーマンス)のようになっていきました。
ニューヨークで作品が描かれた場所
バンクシー・ダズ・ニューヨークの7日目は、BrooklynのRED HOOK(レッドフック)、King and Van brunt streetに描かれました。今となっては、建物ごと取り壊されています。