バンクシーが、2013年10月30日(水)にニューヨークのヤンキー・スタジアムの近くで公開した作品が「Yankee Stadium Tiger(ヤンキースタジアム・タイガー)」です。
ニューヨークで開催した「Better Out Than In」の30日目は、人々が集まる場所を意味する「コンコース」のヤンキー・スタジアム近くの青い壁にブロンクス動物園からと思われる虎が描かれました。虎の模様は、ブロンクスのレジェンドアーティストコープ2の作品をモチーフにしている。
「Yankee Stadium Tiger(ヤンキースタジアム・タイガー)」とブロンクス動物園
「Yankee Stadium Tiger(ヤンキースタジアム・タイガー)」とは、ヤンキースタジアムの乱暴者を意味しています。
1975年から監督を務めた「ビリー・マーチン」は、”ビッグボス”と呼ばるオーナーの「ジョージ・スタインブレナー」や1977年に移籍でやってきたスター選手「レジー・ジャクソン」らとたびたび対立し、地元メディアは当時の球団を“Bronx Zoo(ブロンクス動物園)”などと揶揄していました。
1976年に老朽化したヤンキー・スタジアムの全面改装に乗り出し、新球場として立て直されたスタジアムで12年ぶりにリーグ優勝し、ヤンキース復活の年となりました。ジャクソンは、翌1977年に打線の主軸として活躍し、再びリーグ優勝へ導きました。また、ワールドシリーズでは宿敵ロサンゼルス・ドジャーズに勝利し、1962年以来15年ぶりにワールドチャンピオンとなったのです。
しかし、ビリー・マーチン監督とスタインブレナー・オーナーとの愛憎入り混じった関係は“奇妙なカップル”とも呼ばれ、1988年までにヤンキース監督に5回就任し、5回解雇されました。最後に解雇されたのは、88年6月23日、20日からのデトロイト・タイガースとの首位攻防戦で3タテを食らい、しかもすべてサヨナラ負けした時でした。
バンクシー「Yankee Stadium Tiger(ヤンキースタジアム・タイガー)」ブロンクス動物園の意味
Tiger(タイガー)とは、スラングで”乱暴者”を意味します。
ヤンキースタジアムの近くに描かれた、タイガーはヤンキースタジアムの乱暴者ビリー・マーチン監督を示唆しているのか。まるでベンチはブロンクス動物園のようだと揶揄されたことに合わせてタイガーを描いたのか。デトロイト・タイガースに負け解任されたことを揶揄してタイガーを描いたのか。
70年代のヤンキースについて言及している可能性もあれば、文化のるつぼとしてブロンクス地区の歴史を暗示している可能性もあります。
ニューヨークの場所はどこ?マコームズ・ダム橋とジェローム通り
バンクシー・ダズ・ニューヨークの30日目は、ブロンクス地区のヤンキー・スタジアムの近く(マコームズ・ダム橋とジェローム通り)の青い壁に登場しました。
作品を最初に発見した人は、ちょうどペンキを塗りたてのようだったと伝えています。
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