バンクシーが、ニューヨークで開催した「Better Out Than In」の15日目。
2013年10月15日に公開したのが、ワールド・トレード・センターでのテロ攻撃の犠牲者と影響を受けたすべての人々に敬意を表した「Twin Towers」です。
Twin Towersの意味は、世界貿易センタービル
2013年10月15日(火)マンハッタン区トライベッカ地区に登場した「Twin Towers」。
この地区には、現在ワン・ワールド・トレードが建っており、かつてのワールド・トレード・センターの本拠地でもありました。
「Twin Towers」の意味は「世界貿易センタービル」です。
2001年9月11日の同時多発テロ攻撃は、世界中の人々の記憶に永遠に刻み込まれ、ニューヨーカーだけでなく、世界中の人々が団結するきっかけとなりました。
バンクシーは、ニューヨークの象徴的な2つタワーを特徴的なステンシル技法で描き、歴史の流れを変えた飛行機が衝突したサウス・タワーにオレンジ色の花を置いて爆発を表現しました。
ツイン・タワーに敬意を表するとともに、希望を与え、悲劇から何か美しいものが生まれ成長する可能性があることを示唆しています。
バンクシーは、反戦と反暴力を数々の作品のテーマにしてきました。この作品でも、さらなる愛、公平、理解、思いやりへの呼びかけをおこない、SNSを通じて世界へと拡散させています。
ニューヨークで作品が描かれた場所
ニューヨークでの「Better Out Than In」を開催中、毎日ウェブサイトで作品の発表とともに、写真と街の名前、メッセージ、音声ガイドが掲載されました。
15日目は街の名前「Tribeca」のみが掲載されました。
Tribeca(トライベッカ)は、古い工業建築物で知られる最先端の区域です。現在その多くは居住用のロフトスペースに変わ利、石畳の通りには、流行のブティックやレストランが並んでいます。
「Twin Towers」は、ビルの間を南北に走るわずか3ブロックのステープルズ・ストリートに描かれました。この通りは、かつてはグラフィティ・ギャラリーのようなもので、ストリート・アートや、グラフィティなどが描かれ、ライバルによって上書きされてきました。
バンクシーの作品もその対象であり、注釈が付けられたり、他のアーティストによって上書きされたり、再販価値が高いために切り取られたりしています。「Twin Towers」は、「It’s an Inside Job」というピンク色の落書きで、すぐに上書きされました。
もう1つの「Twin Towers」
翌日、フルーツ・ストリートのシッティング・エリアで「Twin Towers」のトリビュート作品が見つかりました。
ただ、この作品にはタワーの尖塔と花が置かれていません。
このエリアは、夜間にニューヨーク警察がパトロールすることが多く、この通りをよく運転して通り抜けるため、完成する前に逃げなければいけない状況にあったのかと推測されています。
誰かがこの作品に黄色い小さな花をつけて「Twin Towers」を真似ました。
この場所は、新しいニューヨークのスカイラインを見つめることができる素晴らしいロケーションです。
この作品もまた、希望を与え、悲劇から何か美しいものが生まれ成長する可能性を示唆する作品となりました。
ストリート・アートが持つ力
パブリック・アートであるストリート・アートは、美術館では無視されている問題に注目させる力を持っています。人を刺激し、考えさせ、自分も作品に参加でき、より多くの人に無料で見てもらえます。
バンクシーは既存のシステムに反旗を翻す、詩的で、政治的で、気まぐれな、現代を生きるメディアの巨匠なのです。